ブックレビュー

2011年10月 6日 (木)

江戸検の王道!山本博文著『徳川将軍15代』発売!

15 徳川将軍家を「血」で読み解いていく画期的な本ができました
山本博文・東京大学史料編纂所教授著『徳川将軍15代~264年の血脈と抗争~』(小学館江戸検新書)です。

初代家康から始まった徳川将軍15代の歴史は大きく5つに分かれます。
①第2代秀忠から第4代家綱までが「宗家嫡流の時代」。
②5代綱吉から7代家継までが「宗家傍流の時代」。
③8代吉宗から10代家治までが「紀州系の時代」。
④11代家斉から13代家定までが「紀州系傍流の時代」。
⑤14代家茂、15代慶喜が「紀州系強化と初の水戸系の時代」

平和な264年間が続いた江戸時代ですが、将軍家の継承は建前としていた嫡子相続が乱れ、血筋が大きく混乱して、実は波瀾万丈だったのですね。

①から②への継承を例に具体的に説明してみましょう。

秀忠、家光、家綱まで、長男ではなくとも実子であった人物が跡を継いでいました。いろいろありましたが、まずは順当な継承でした。
ところが、第4代家綱は跡取りの男子がおらず、嫡男が継承していく血筋はここで途切れます。
家綱は腹違いの弟を養子にせざるをえなくなりました。家光の男子のうち、長男家綱の他に、三男の綱重、四男の綱吉が成人しています。
長幼の序でゆけば、綱重が跡を継ぐことになりますが、家綱臨終の2年前に綱重は亡くなり、その長男の綱豊が甲府藩主となっていたのです。綱重の嫡男であるので、綱豊も十分資格があります。
しかし、結局傍流の傍流にもかかわらず、館林藩主である四男綱吉が家綱の養子となって第5代将軍となりました。

宗家の血筋の大きく乱れ、傍流時代に入ったのです。そこからは何でもあり、といっては語弊があるでしょうが、抗争と遺恨が渦巻きながら、幕末まで徳川将軍家は継承が続いていったのでした。

この『徳川将軍15代』は、その「壮大な血脈ドラマ」を、余すところなく描いて興味が尽きません。
読むにしたがって、「そうか、この将軍の時に、この人物が出てきて、こんな事件が起きたのか」と、漫然と年表を読むより、良く頭に刻み込まれます。

江戸検受検者には「必読の書」ですね。

お薦めします。(彦)

2011年9月 5日 (月)

1級合格者が書いた江戸の本が出版!

1級合格者で、お江戸のアイドル「お江戸ル」として舞台にテレビに活躍している、ほーりーこと堀口茉純さんの初の自著本が、9月23日に出版されます

1_01 タイトルは『TOKUGAWA15~徳川将軍15代の歴史がdeepにわかる本』(草思社刊)。

ポップな感覚で江戸に斬り込んでいる、ほーりーらしいタイトルですね

「マニアックすぎる知識と独自の視点で、徳川15代の素顔を解き明かした、まったく新しい江戸本」
お~っ

「幼少期の10年以上を人質として過ごした家康、鬼嫁・お江と実は仲がよかった秀忠など、将軍さまの知られざる素顔が満載。著者自身が描いた精緻でユニークな歴史イラスト150点以上収載」
お~っお~っ

どうかお楽しみに(彦)

2011年7月 7日 (木)

『江戸の名所』のブックレビュー

今年のお題の参考図書『江戸の名所―お上り武士が見た華の都』が、7月1日に発売されました。すでにご覧になった方もいらっしゃると思いますが、書店では順調に売れているそうです。
あるウエブサイトに、こんな書評が出ていましたのでご紹介させていただきます。

「江戸時代の名所ってどんなものかを知るために買ったのですが、コンパクトにまとまった内容なので、「江戸町歩き」に持って行くのに大変便利な事に気がつきました。
章ごとに方面がまとまっているので、きょうは向島あたりに行こうと思ったら、七章を見ながら行きます。墨堤、三囲神社、秋葉大権現、宰府天満宮(亀戸天神の昔の呼び方だそうです)など、由来や名物が簡単に分かります。
ありそうでなかったわかりやすい江戸町案内で、おまけに内容はかなり高度なものが含まれています。
帰宅後、思い出しながら読み直すとまた発見があり、これは儲けものでした。
江戸好きにはたまりません。」

江戸検受検だけではなく、お散歩にも使えるとのことです。でも、お散歩したながらこの本を読むと、江戸の名所が頭に入りますよ~(^^)。(彦)