第15回 UKIYOE Nightにいってみないと①
謎解き!広重ミューズ 前編
皆様ご無沙汰しております。ほーりーは忘れた頃にやってくる、ということで人知れず更新です(笑)
☆☆☆
さて、私は、浅草二天門横のアミューズミュージアムという博物館の木曜日イベント『UKIYOE Night』に月一で出演。浮世絵に隠された“謎”を独自の視点で解き明かす、という事に挑戦しています。
どういう事をやっているのかというと…
例えば、歌川広重の「名所江戸百景」の“真乳山山谷堀夜景”という絵をみてみましょう。
手前が向島、隅田川を挟んで吉原へと続く山谷堀を望むという構図です。こんもり盛り上がっているのが待乳山ですね。
この絵が、私、なんか昔から気になっていて。
というのも、手前にいる粋筋の女性、私は“広重ミューズ”と呼んでいますが、
圧倒的に美人じゃないんですよね(笑)。
ではでは 顔をアップしてみましょう
鼻は短いし顎は丸いし目は小さいし、後頭部絶壁だし。
え、ヒドイって?
でも、
普通、浮世絵って女性は美化200%くらい綺麗に書くじゃないですか、
この女性、不自然なくらい“写実的”だな。って気がしませんか?
こんな小さな疑問から謎解きが始まるんです。
「ひょっとして、この女性にはモデルがいて、その人の似顔絵なんじゃないか?だとすれば、それはだれ?」
って。
よく言われるのは
“堀の芸者小万”説
小万というのは田沼時代に山谷堀界隈で名を馳せた鉄火芸者(きっぷのよい男勝りな芸者)です。この辺りの代名詞となる有名人という意味では有り得る話しかもしれません。
で・も・・・
この絵が描かれたのは安政四年。
小万さんは既にアラフォーで、芸者はとっくに引退し、諸国巡礼の旅にでているはずなのです。
そんないっちゃわるいけど、過去の人の絵をわざわざ書くでしょうか?
また彼女の着物や髪型、化粧に至るまでが「堀の小万」という一世を風靡した女性を描くにしては、地味すぎる気がします。
何より小万さんは
“冷たい感じのする美人”でしたから、この絵のイメージとはちょっと違いますよね。
まあ、小万以外にも山谷堀には芸者が沢山いましたから、
当時の人は、“この界隈の風情を表す芸者”と見立てる人も多かったと思います。
・・・ん?!でもちょっとまって!
よくみると、この人右手で褄をとっていますよ!!
芸者は左褄が基本の型。
わざわざ右手で褄をとっているってことは
「この人、芸者じゃないよ~ん」
という広重さんからのヒントなのでは?! (続く)
ほーりー(本名・堀口茉純)
昭和末期、東京都足立区に生をうける。
小学生の時司馬遼太郎氏の本に出会い、侍になりたい!と決意。初恋の人は沖田総司。
中学生の時歌舞伎俳優を志すがよく考えたら女子だったので挫折。高校の成績は歴史のみ5。興味は世界史まで広がる。そんな調子で大学に進み、何故か演劇活動を始める。
気がつけば、江戸文化歴史検定1級に合格、現在に至る。
侍になりたい!という初期の目的に向かい邁進中。
ホームページ
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=kinakopandaikirai