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2012年9月

2012年9月28日 (金)

江戸三十三観音巡り 第11回 円乗寺

【所在地】文京区白山1-34-6 都営地下鉄三田線白山駅より徒歩10分

 円乗寺は、都営地下鉄「白山」駅A1番出口から徒歩2分の距離にあります。

Photo_14 旧白山通りから旧中山道に向かう上り坂(「浄心寺坂」別名「於七坂」)を少し入ると北側に参道があります。参道入り口には、「江戸三十三観音札所第十一番聖観世音菩薩」の看板があり、「お七地蔵堂」もありますので、すぐにわかります。

 江戸時代には、境内が1770坪もあったそうですが、戦後期の混乱もあって、現在は、両側がマンションや住宅に囲まれた細い参道となっています。

  

Photo_22 円乗寺の入り口西側に「お七地蔵堂」があります。この「お七地蔵堂」に祀られている「八百屋於七地蔵尊」は、八百屋お七が在世の時に所持していた地蔵尊と伝わっているものです。昔から縁結び・火伏の御利益があると信じられていて、現在でも多くの人々の信仰を集めています。

Photo_30 円乗寺の創建時期は、文京区の説明では天正9年(1581)に開創されたとありますが、「御府内寺社備考」という書物には元和6年(1620)川越の喜多院に住する宝仙法印により起立されたとも書かれていて、明確なことは不明のようです。

 当初は、本郷の加賀金沢藩の御屋敷(現在の東京大学)の近くにあり、密蔵寺といいましたが、後に円乗寺と寺号が変わりました。明暦3年(1653)に起きた明暦の大火のため本郷の用地が収公されたため、現在地に移転しています。

  

Photo_24  参道をまっすぐ進むと、正面に本堂があります。戦災で焼失してしまい、戦後再建されました。


 円乗寺のご本尊様は釈迦牟尼仏です。
本堂中央に鎮座していらっしゃいました。その脇に札所ご本尊様である聖観世音菩薩像が鎮座されています。

5_3戦前、円乗寺には秘仏の聖観世音菩薩像がありましたが、戦災で焼失してしまい、この観音様は、「昭和新撰江戸三十三観音札所」が昭和51年に再興されるのに合わせて造立されたものだそうです。

そして、ご本尊の脇には、八百屋お七の御位牌がありました。「妙栄禅定尼」と八百屋お七の戒名が書かれています。
 本堂内には、八百屋お七の絵も飾られています。

Photo_26 円乗寺は、なんといっても八百屋お七のお墓があることで有名です。
そこで、「お七火事」や「八百屋お七」について書いてみます。

 天和2年(1682)12月28日に大火事が発生しました。この大火事は天和の大火(てんなのたいか)と呼ばれ、江戸十大大火の一つに挙げられほどの大火でした。この火事が俗に「お七火事」とも称されます。駒込の大円寺から出火したとされ、28日正午ごろから翌朝5時ごろまで、下谷・浅草・本所・本郷・神田・日本橋まで延焼し続けました。

 この大火で焼失した大名屋敷は、火元近くの加賀藩、大聖寺藩、富山藩の各前田家や村上藩榊原家、津藩藤堂家、対馬藩宗家など73家。旗本屋敷は166家、寺院は霊巖寺など48ケ寺、神社47社という数字も残されています。
亡くなった人は3500名余と推定されています。
 
松尾芭蕉は、このころ深川の芭蕉庵に住んでいましたが、芭蕉庵もこの天和の大火で燃えています。

この火事が「お七火事」とも呼ばれるのは、翌年にお七の放火による火事が起き、これと混同して「お七火事」と呼ばれるようになったと思われます。

 お七の放火による火事は、ボヤ程度のもので、大火というほど大規模なものではなかったようですが、あまりにも印象が強かったのでしょう。大火だろうという思い込みから、前年の大火が「お七火事」と呼ばれるようになったのではないでしょうか。

7_4 八百屋お七については、有名な話ですが、井原西鶴の『好色五人女』に書かれている内容をはじめ、諸説があります。その中で、最も事実に近いのだろうと言われているのが『天和笑委集(てんなしょういしゅう)』です。

 
 それによると、お七の生家は本郷の森川宿(現在の東大正門向かい側の北側辺り)の八百屋でした。父は市左衛門(『好色五人女』では八兵衛となっている)といい、加賀金沢藩前田家に野菜を納めるほどの大きな八百屋だったようです。


 天和の火事で、森川宿に住んでいた八百屋の市左衛門の一家も焼け出されました。そのため、市左衛門は女房や娘のお七と一緒に、駒込の円乗寺(『好色五人女』では吉祥寺となっている)に避難しました。

菩提寺と書いたものもありますが、円乗寺の市原ご住職によると、円乗寺はお七の家の菩提寺ではないとのことであり、円乗寺が駒込に移転する前はお七の家と近い本郷にあったので、お七一家は円乗寺に避難したのではないだろうかということです。この時にお七は円乗寺の寺小姓、生田庄之助(『好色五人女』では小野川吉三郎、文京区教育委員会の案内板では「佐兵衛」となっている)と恋仲になりました。


 やがて自宅が再建され、お七は家に戻りましたが、恋仲になった生田庄之助に会いたい一心で、天和3年3月2日、付け火をします。
付け火はすぐに発見され、消し止められました。お七は付け火の道具を持ってさまよっていたため、すぐに捕えられました。

火事はボヤで済みましたが、江戸時代は放火は大罪です。放火の罪で捕らえられたお七は、天和3年3月29日、鈴ヶ森で火あぶりの刑にされました。


 この時、お七は16歳でした。江戸時代は、罪に問われるのは15歳以上であり、15歳未満であれば無罪となります。
町奉行の甲斐庄(かいしょう)正親は、なんとかお七を助けてやりたいと思い、「14歳だろう」と問います。しかし、お七は正直に16歳ですと答えたため、鈴ヶ森の刑場で火あぶりの刑に処せられてしまったという話が伝えらえています。
 
ただし、実際に八百屋お七を捕まえたのは、火付改役(ひつけあらためやく:後の火付盗賊改役)の中山勘解由(なかやまかげゆ)です。


 このお七の放火は、さまざまな創作物で取り上げられ、大変有名になりました。
そのうち最も有名なものが、井原西鶴が書いた小説『好色五人女』です。 

また、歌舞伎・浄瑠璃にも数多くの作品があります。代表的なものとして「八百屋お七歌祭文」「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)」があげられます。さらに、「お七」という落語にもなっています。

その八百屋お七のお墓が、円乗寺参道西側にあります。昔は屋根がなかったそうですが、現在は屋根が造られています。

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9_7 お墓は
3基あります。中央は、円乗寺の住職が供養のために建てたものです。お墓が丸く削られていますが、これは、一時期、お七のお墓を削った石粉をもっていると御利益があるという噂がひろまり、墓石が削られてしまったと市原ご住職が話されていました。

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右側は、寛政年間に歌舞伎役者の岩井半四郎が建立したお墓です。岩井半四郎がお七を演じた縁で、建立したものです。

 
墓碑正面に「妙栄禅定尼」とお七の戒名が刻まれています。墓碑右脇に建立時期が刻まれていますが、寛政という文字は読み取れましたが、建立した年は不明でした。


11_2 左側のお墓は、近所の有志がお七の270回忌法要のために建てたものです。


 お七のお墓には、いつお参りしてもきれいな花が手向けられています。円乗寺の人が手向けているようですが、大変気持ちの良いものです。
また、お墓の脇にはノートが置かれていて、参拝者の願いごとや感想が書かれています。願いごとは、恋愛成就と諸芸上達が多いようです。

 最後に、円乗寺で珍しいおみくじを紹介されました。水で溶けるおみくじです。順に写真を撮りましたので、ご覧ください。

①おみくじは細く丸められています(写真左上)
②ほどいたおみくじを、つくばいに入れます(写真右上)

③おみくじがだんだん水に溶けていきます(写真左下)
④あっというまに、おみくじが水に溶けてしまいました
(写真右下)

12_613_5
14_615_5   
 
 
八百屋お七のお墓参りした後に、試してみてはいかがでしょうか。

●夢見る獏のブログ『気ままに江戸♪ 散歩・味・読書の記録』もあわせてご覧ください。
http://wheatbaku.exblog.jp/

2012年9月27日 (木)

江戸検メルマガ 第44号 申込締切迫る!

◎申込締切が迫る

文化財をめぐる

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申込締切が迫る

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あと1ヶ月、もう1ヶ月。およそ1ヶ月後は江戸検本番ですね。

書店申込は今月30日迄ですが、その他のお申し込みは来月14日迄です。

但し、ギリギリにお申し込みされると受検票をお届けできるのが遅くなってしまう可能性もあるので、お早めにお願いします。

★★本日の問題★★

草鞋は江戸時代の旅の必需品のひとつです。軽くて歩きやすいので重宝されていましたが、わずか1~2日で擦り切れてしまったそうです。

さて『守貞謾稿』によれば、この草鞋の値段はおよそいくらだったでしょう?
なお、当時は串団子1本が4文、蕎麦が16文でした。

い)4文

ろ)8文

は)16文

に)32文

解答解説はこのメルマガの最後にて。

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文化財をめぐる

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今年の夏は暑い日々が長く続きましたが、やっと秋めいてきて、おさんぽ日和になってきましたね。そこで、東京文化財ウィーク2012より文化財めぐりを一部紹介します。

<千代田区>

事業名/文化財めぐり 江戸城ウォーク

日時/11月3日(土)13:30~16:00

応募締切/10月12日必着

募集人数/20名

参加料/200円

事業名/文化財めぐり 江戸・明治の日比谷周辺を歩く

日時/10月27日(土)13:30~15:30

応募締切/10月5日必着

募集人数/20名

参加料/200円

申込方法/往復はがき(事業名、住所、電話番号、勤務先を記入、1人1枚)

申込先/〒100-0012 千代田区日比谷公園1-4

千代田区日比谷図書文化館文化財事務室

問い合わせ/03-3502-3348

<墨田区>

事業名/史跡めぐり「すみだ浮世絵散歩」

日時/11月22日(木)9:30~12:00

応募締切/10月15日必着

募集人数/24名

参加料/無料(ただし、向島百花園入園料が必要です)

申込方法/往復はがき(事業名、住所、氏名、年齢、電話番号)

申込先/〒130-8640 墨田区吾妻橋1-23-20

墨田区教育委員会事務局生涯学習課文化財担当「史跡めぐり」係

問い合わせ/03-5608-6310

<品川区>

事業名/文化財ウォークラリー ‐旧東海道周辺‐

日時/11月17日(土)13:00~16:30

応募期間/10月11日~10月25日

募集人数/200名

参加料/50円(保険料)

申込方法/往復はがき(参加者全員の氏名、年齢、住所、電話番号)

申込先/〒140-8715 品川区広町2-1-36

品川区教育委員会事務局庶務課文化財係

問い合わせ/03-5742-6839

■■編集後記■■

今回は文化財めぐりの特集でしたが、その他の東京文化財ウィークも凄いです。

特に江戸検受検のために遠方からいらっしゃる方にオススメなのが、10月27日~11月4日の期間で行なわれる都内文化財一斉公開事業。

詳しくは、ホームページやパンフレットでご覧ください。

http://www.syougai.metro.tokyo.jp/sesaku/week.html

東京駅丸の内口の通称「赤レンガ駅舎」が67年ぶりに復元され、10月1日にグランドオープンしますので、ぜひ観光も楽しんで下さいね。

☆☆本日の解答解説☆☆

ろ)8文

草鞋(わらじ)は草履(ぞうり)に比べ足にしっかり固定できるため、動きの激しい労働や旅などの際に用いられました。稲藁で作られることが多く消耗が激しかったため、旅では履き替えを携帯し、足を保護するため、草鞋掛・爪掛・足袋などを併用することも多くありました。

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本メールマガジンの著作権は、江戸文化歴史検定協会に帰属します。

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発行・編集:江戸文化歴史検定協会 明恵

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2012年9月11日 (火)

網干メロン

こんにちは。トマ子です

ShoPro屋上菜園で育てている、「網干メロン」が収穫できました。

網干メロンは、江戸時代、新宿鳴子宿の名物だった、鳴子瓜によく似ているそうです。

とっても小さい実ですが、とても甘くて、香り高く、おいしかったです。

1820201209081216000

生まれ育った故郷の、伝統的な野菜や食文化を調べてみると、おもしろい発見がありそうですね。

(トマ子)
Shoprosaien

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